大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 平成6年(ワ)12424号 判決 1997年1月31日

茨城県猿島郡総和町大字下大野字原山一八二〇番地一

原告

ヤマト工業株式会社

右代表者代表取締役

唐川和雄

右訴訟代理人弁護士

及川昭二

右輔佐人弁理士

川崎隆夫

埼玉県戸田市新曽南四丁目一番五号

被告

旭産業株式会社

右代表者代表取締役

長谷川実

右訴訟代理人弁護士

水谷直樹

右輔佐人弁理士

中山清

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  原告の請求

一  被告は、別紙物件目録記載のラッキングカバーを製造し、販売してはならない。

二  被告は、本店、その他の営業所又は工場において占有する前項のラッキングカバーの完成品及びその製造に使用する金型を廃棄せよ。

三  被告は、原告に対し、金三億円及びこれに対する平成六年七月八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

本件は、原告が、被告に対し、被告が製造販売する別紙物件目録記載のラッキングカバー(以下「イ号物件」という。)が原告の有する後記実用新案権を侵害するものであるとして、実用新案法二七条一項に基づきイ号物件の製造販売行為の差止め、同条二項に基づきイ号物件及びその製造に供した金型の廃棄、並びに民法七〇九条及び実用新案法二九条一項に基づき損害の賠償(一部請求)を求めた事案である。

一  争いのない事実

1  原告は次の実用新案権(以下「本件実用新案権」といい、その考案を「本件考案」という。)を有する。

(一) 考案の名称 管被覆材保護筒

(二) 出願年月日 昭和六一年一二月一九日

(三) 出願公告年月日 平成四年一月三一日

(四) 出願公告番号 平四-三一九七号

(五) 登録年月日 平成四年一一月一〇日

(六) 登録番号 第一九三七四三〇号

(七) 実用新案登録請求の範囲第(1)項 別紙実用新案公報(以下「本件公報」という。)の該当欄記載のとおり

2  本件考案の構成要件は次のように分説される(なお、本件公報においては、1欄四行に「他方の縁部3a」、同欄一三行に「一方、縁部3aの上端部」とそれぞれ記載されているが、「3a」はいずれも「3b」の明白な誤記であると認められるので、以下においては「3b」と読み替えて記載する。)。

(一) 保護筒3の長手方向の一方の縁部3aを三つ折返しにはぜ折りして、スリット4a、4bと、掛止めリム5を形成し、他方の縁部3bに逆止突子6を長手方向に列設した既存構成の管被覆材保護筒において、

(二) 保護筒3の、縁部3a上端部の、表面側を設定長l1の長さで下向き傾斜線状に切除して、上端のアール部9aからの折り返し部4cに向ってガイドライン9bを形成すると共に、裏面側のはぜ折り部分を上端側から同じく設定長l1の長さで切除し、

(三) 一方、縁部3bの上端部を、設定長l2の幅及び設定長l3の長さで僅かに下向き傾斜線状に切除して、上端アール部10aからガイドライン10b及び設定長l4の回り止め用の係合部10を形成したことを特徴とする、

(四) 管被覆材保護筒。

3  被告は、平成四年から、別紙物件目録記載のラッキングカバー(イ号物件)を製造販売している。

4  イ号物件は、本件考案の構成要件(一)、同(二)のうちの「(縁部3a上端部の)裏面側のはぜ折り部分を上端側から同じく設定長l1の長さで切除し」たこと、同(三)のうちの「設定長l4の回り止め用の係合部10を形成したこと」及び同(四)を具備している。

二  争点

1  イ号物件は本件考案の技術的範囲に属するか否か。

(一) イ号物件における第一コーナー部109A及び第二コーナー部109Aがそれぞれ、構成要件(二)のうちの「(縁部3aの)上端のアール部9a」及び構成要件(三)のうちの「(縁部3bの)上端にアール部10a」(あわせて以下「要件A」ということがある。)にそれぞれ該当するか。

(二) イ号物件における第一案内部109Cが、構成要件(二)の「縁部3aの上端部の、表面側を設定長l1の長さで下向き傾斜線状に切除して、上端のアール部9aから折り返し部4cに向ってガイドライン9bを形成する」ことを、及び第二案内部110Cが構成要件(三)の「縁部3bの上端部を、設定長l2の幅及び設定長l3の長さで僅かに下向き傾斜線状に切除して、上端アール部10aからガイドライン10bを形成する」ことを、それぞれ具備するか(以下右各構成要件をあわせて「要件B」ということがある。)。

2  原告の損害額

三  争点に対する当事者の主張

1  争点1(一)について

(原告の主張)

(一) イ号物件における第一コーナー部109Aは、雌型縁部103Aの上端部の表面側を斜めに切除して形成した第一案内部109Cの上端部分で、略一一〇度の鈍角に形成してあるコーナー部であり、本件考案のアール部9aそのものである。また、イ号物件における第二コーナー部110Aは、第二係合部110に形成される斜辺の上端部で、略一一〇度の鈍角に形成してあるコーナー部であり、本件考案のアール部10aそのものである。したがって、イ号物件は、要件Aを充足する。

仮にそうでないとしても、イ号物件は、上位のラッキングカバー130の外側スリット104A及び内側スリット104Bに挿し込むときに、引っかかりのない円滑な最初嵌合が実現されるものであるから、第一コーナー部109A及び第二コーナー部110Aは、本件考案のアール部9a及びアール部10aと同等・均等である。

(二) 被告は、イ号物件における第一コーナー部109A及び第二コーナー部110Aは角状であるから、要件Aを満たさない旨主張する。

(1) しかしながら、本件考案は、アール部9a及びアール部10aのアール(半径)の寸法については何ら限定しておらず、本件考案の実施例図面でもアール部9aとアール部10aのアールの寸法は相違して記載されているが、考案の詳細な説明には、その相違によって作用効果が相違するとの記載は全くない。

もし、本件考案のアール部9a及びアール部10aのアールの寸法を限りなくゼロに近づければ(例えばR=〇・一ミリメートル)、アール部9a及びアール部10aは限りなく角状に近いものになり、イ号物件の第一コーナー部109A及び第二コーナー部110A(共にR=〇ミリメートル)とは数値上の相違は認められるとしても、構成の相違として両者を区別することは極めて困難であって、両者は実質的構成において同一である。

(2) また、ラッキングカバーを扱う板金業者(特に現場作業者)は、プレス加工による剪断部が極めて鋭利であるため、剪断角部は「角状」に形成する必要がある場合を除き、危険防止のために「かど取り」「面取り」等の加工を慣行として古くから行ってきた。イ号物件における第一コーナー部109A及び第二コーナー部110Aに相当する部位は、ラッキングカバーの先端部で現場作業上危険な部位であるから、イ号物件のような「切放し」のままではなく、当然本件考案のアール部9a及びアール部10aのように危険防止の「かど取り」加工をして出荷するのが業者としての良識である。

他方、このような危険防止の必要性があるにもかかわらず、イ号物件が第一コーナー部109A及び第二コーナー部110Aを敢えて「角状」にしなければならない理由は全くなく、イ号物件は、「構成の相違」を理由として本件実用新案権の侵害から逃れる目的で、本件考案のアール部に相当する部分を角状としたに過ぎないと思われる(改悪又は不完全実施)。

(被告の主張)

(一) 本件考案においては、縁部3aの側にアール部9aを、縁部3bの側にアール部10aをそれぞれ具備することが必須の構成とされているところ、「アール」とは、円の半径ないしはこれを前提とする円弧の形状を意味する技術用語であるから、アール部9a及びアール部10aの形状はいずれも円周の一部ないし円弧状の形状を意味することは明かである。

他方、イ号物件においては、保護筒の雌型縁部103Aの上端である第一コーナー部109Aと雄型縁部103Bの上端である第二コーナー部110Aは、いずれも角状を呈しており、アール形状とはなっていない。また、このような形状であるため、原告が本件公報中で強調するような、保護筒の上端部をアール形状にしたことによる作用効果(5欄二八ないし三一行、6欄三ないし一七行)も何ら奏されることはない。

したがって、イ号物件は、要件Aを具備していない。

(二) 原告は、イ号物件が本件考案の改悪ないしは不完全実施である旨主張するが、右主張は、イ号物件がアール部9a及びアール部10aを具備していないことを前提とした主張であって、この点において前後矛盾している。また、原告は、イ号物件の第一コーナー部109A及び第二コーナー部110Aは本件考案のアール部9a及びアール部10aと同じ効果が得られるとも主張するが、何の根拠も伴わない主張であり失当である。

2  争点1(二)について

(原告の主張)

(一) 第一案内部109Cは、雌型縁部103Aの上端部に形成した斜辺の案内部であって、本件考案のガイドライン9bそのものであり、第二案内部110Cは、第二係合部110に形成される斜辺の部分であり、本件考案のガイドライン10bそのものである。したがって、イ号物件は、要件Bを具備している。

(二) 被告は、イ号物件では、第一案内部109Cと第二案内部110Cの下方への切除の傾斜角度の大小関係が、本件考案のガイドライン9bとガイドライン10bの構成とは逆の関係となっているから、イ号物件が本件考案の技術的範囲に属さない旨主張する。

(1) しかしながら、本件考案においては、ガイドライン9bの傾斜角度とガイドライン10bの傾斜角度とが、相互に関係のあることを必須の要件とはしていない。実用新案登録請求の範囲中にも考案の詳細な説明中にも、両者の傾斜角度の条件や相互の関係、ガイドライン9bとガイドライン10bの傾斜角度の違いが作用効果に差異を及ぼすことについての記載は一切なく、ガイドライン9b及びガイドライン10bは、傾斜案内することで足りるものとなっている。

他方、イ号物件の第一案内部109Cは下向きに傾斜しているものであり、第二案内部110Cは一〇八度から九〇度(垂直線)をマイナスした一八度の下向き傾斜であるから、僅かな下向き傾斜であることは明らかである。イ号物件は前記要件を充足している。

(2) そもそも、ガイドライン10bの傾斜角度は、上下のラッキングカバーを装着する際に、上位のラッキングカバーの逆止突子6に当たらない程度に傾斜していればよく、ガイドライン9bの傾斜角度とは全く関係がない。本件考案の構成は、設計、試作、実験を繰返した上到達したものであって、「僅かに下向き傾斜線状」の「僅かに」とは、本件考案の最良若しくは最小限の構成を意味するに過ぎず、作用効果上の多少の不利益を容認するならば、下向き傾斜角度が水平線に対して小の場合であっても、最良若しくは必要最小限の構成要件の下位概念の技術として、当然に本件考案の右構成要件に含まれるものである。

(被告の主張)

(一) 本件考案は、「縁部3aの上端部を設定長l1の長さで下向き傾斜線状に切除して、アール部10aから折り返し部4cに向かってガイドライン9bを形成すること」及び「縁部3bの上端部を、設定長l2の幅及び設定長l3の長さで僅かに下向き傾斜線状に切除して、アール部10aからガイドライン10bを形成すること」をそれぞれ必須の構成としているが、一方が「下向き傾斜線状に切除して、ガイドラインを形成すること」を要件とし、他方が「僅かに下向き傾斜線状に切除して、ガイドラインを形成すること」を要件としているものである以上、前者の要件であるガイドラインよりも後者の要件であるガイドラインの方が、より垂直方向に近い態様で切除されるものであることを意味することは言うまでもない。

このことは、本件公報中の第1図ないし第3図に図示されているガイドライン9bとガイドライン10bの傾斜角度を比べた場合、前者の傾斜角度よりも後者の傾斜角度の方がより垂直に近いものであることからも明らかである。また、本件考案の出願経過を見ても、出願時の明細書(乙三の一)における実用新案登録請求の範囲は、現在の実用新案登録請求の範囲と同様に、「ガイドライン9bを設定長l1の長さで下向き傾斜線状に切除して、」「ガイドライン10bを略設定長l1の長さで僅かに下向き傾斜線状に切除して、」と記載されており、明細書添付の第1図では、「下向き傾斜線状に切除して」との記載部分に対応する縁部上端部の切除の傾斜角度は約六五度であるのに対し、「僅かに下向き傾斜線状に切除して」との記載部分に対応する縁部上端部の切除の傾斜角度は、ほぼ垂直に近い角度である。

ところが、イ号物件においては、本件考案の縁部3a側に相当する雌型縁部103A側の第一コーナー部109Aから第一角部109B切に至る第一案内部109Cの傾斜角度は、水平方向に対して約七四度であり、他方で、本件考案の縁部3b側に相当する雄型縁部103B側の第二コーナー部110Aから第二角部110Bに至る第二案内部110Cの傾斜角度は、水平方向に対して約七二度であって、イ号物件では、第一案内部109Cと第二案内部110Cの下方への切除の傾斜角度の大小関係が、本件考案の構成とは逆の関係となっていることが明らかである。

したがって、イ号物件は、要件Bを充足しない。

(二) 原告は、ガイドライン9bとガイドライン10bの傾斜角度の大小関係は全く考慮する必要がないかの如く主張するが、同一の実用新案登録請求の範囲中で異なる文言が使用されている場合には、これらを異なる技術的意義に理解することは当然である。

また、原告は、縁部上端部の切除の傾斜角度について、一方は「下向き傾斜線状に切除して」とし、他方は「僅かに下向き傾斜線状に切除して」と異なる内容で規定したことの積極的な技術的意義を出願経過書類及び本件公報においても必ずしも明確にしているわけではないが、他方で、実用新案登録請求の範囲及び考案の詳細な説明中に相互の関係についての記載が存在しないことを奇貨として、単に下向きに傾斜案内していれば足りるとの主張は、本末転倒と評するほかない。出願人自身がクレーム文言に限定を付している以上、この限定どおりに技術的意義を理解することはむしろ当然である。

3  争点2について

(原告の主張)

被告は、平成四年一月ころから、故意又は過失により、本件実用新案権を侵害するイ号物件を製造販売しており、現在までに五億円を下らない利益を上げている。右利益は、原告の蒙った損害と推定されるところ、本訴においてはその内金である三億円を請求する。

(被告の主張)

否認する。なお、イ号物件の製造販売開始時期は平成四年三月である。

第三  当裁判所の判断

一  争点1(一)について

1(一)  「R」、「r」、「アール」の語は、機械工業や製図の分野においては半径を意味し、これから転じて工作品のかどに丸みを付けることを慣用的に「アールを付ける」ということがある(裁判所に顕著な事実、甲三、甲五、乙一、乙二)。また、本件公報中の第1図、第3図ないし第7図は本件考案の実施例の図面であるが、これらの各図面においても、アール部9a及びアール部10aは丸みを帯びて描かれている。

(二)  本件公報の考案の詳細な説明の項には、本件考案が前提とした従来技術の課題及び本件考案の目的、作用効果として次のとおりの記載がある。

(1) 本件考案は、建物内外に設置した空調用等の各管において、該管外周に巻き付けた断熱保護材等の被覆材の周面をカバーする円筒状の保護筒に関するものであり(2欄一三ないし一六行)、「(1)従来、この種保護筒3としては、展開状態長方形のブリキ板等を使用し、その長手方向の一方の縁部3aを三つ折返しにはぜ析りして、スリット4a、4bと掛止めリム5を形成し、他方の縁部3bに逆止突子6等を筒内に向けて段状にプレス成形して長手方向等間隔に刻設したもの、またはこれに類似した構成のものが広く用いられており、」(2欄二七行ないし3欄六行)、「(2)また、上記(1)項記載の保護筒を改良したものとして、その縁部3a及び3bの上端部のはぜ折り部分及び逆止突子設置部分を小長方形に切除して切欠き7及び8を設けたものがある。」(3欄七ないし一〇行)

「ところが、従来(上記(1)項記載の)の保護筒3においては、嵌入する方の保護筒の上端部に嵌合を助けるような構成が何も無いため、筒3’のスリット4aに筒3”の折り返し部4cを、また、筒3’のスリット4bに筒3”の、逆止突子6のある縁部3bを、筒3’の各スリット4a、4bを拡開して、強引に重合挿入することとなり、筒3’、3”の重合接続作集が極めてやり難く、手数がかかるばかりでなく、接続仕上りが前記重合挿入部分が外方へふくらんでしまうため、極めて不体裁となる欠点があった。」(3欄三〇ないし四〇行)ところ、これを改良した右(2)項記載の保護筒においても、「(ⅰ)それでもなお、切欠き7、8の形状が単純な小長方形であるため、特に嵌合作業当初の嵌合案内が仲々うまく行かず、現場作業は手さぐりで行う場合が多いため、その点が大きな欠点となっており、(ⅱ)更に、嵌合接続後の仕上げ時に、一応各保護筒の折り返し部4cを一直線状に整えることはできるが、上記のように、下位の筒3”は縁部3a、3bとの7、8を切除して単なる円筒状(欠円形の)となっているため、該筒3”を回わせば容易に回わってしまって、一直線状の維持がうまく行かないという、仕上り体裁上の大きな問題点があ」った(4欄八ないし二〇行)。

(2) 本件考案は、「施工時の保護筒の上下端部相互の嵌合接続をスムーズに効率的に、また、仕上り体裁良くなし得るようにしたことを特徴とするもの」(2欄二二ないし二四行)であって、実用新案登録請求の範囲に記載された構成を採用することにより、その嵌合態様は、「上位の保護筒3”の下端部に、下位の保護筒3”の上端部をアール部9、10a及びガイドライン9b、10bを案内として嵌合接続したときに、保護筒3”の係合部9が保護筒3’のスリット4a内の折り返し部4cの内側に衝突して右方向に対し回り止め状態に嵌合接続され、また、保護筒3の係合部10が保護筒3のスリット4bの折り返し部4d(公報中の「4b」の記載は「4d」の誤記と認める。)の内側に衝突して、左方向に対し回り止め状態に嵌合接続さ」れるとしている(5欄九ないし一八行)。

そして、本件考案の構成によって、「その係合部9のアール部9a(公報中には続いて「、10a」とあるが、誤記と認め削除した。以下の引用において同じ。)を筒3’(公報中「3”」とあるのは誤記と認める。以下の引用において同じ。)のスリット4a内に、係合部10のアール部10aをスレット4bのリム5上に、そのアール形状を利用してスムーズに挿入」(5欄二八ないし三一行)する作用があり、「(1)上記のように本考案は、保護筒3の上端部の縁部3a、3bに特殊形状及び寸法の係合部9、10を設けたもので、そのアール部9a、10aのアールによる引掛りのない円滑な最初嵌合(スリット4a、4bに対する)と、それに続くガイドライン9b、10bの傾斜案内によって、従来とは比較にならぬ程、トラブルなしにスムーズに嵌合接続を行い得て、よって、保護筒装着及び接続の作業を極めて楽にすると共に、作業能率を格段に向上し得た。」(6欄三ないし一二行)との効果を奏する。

本件公報の右のような記載によれば、本件考案の「アール部9a」及び「アール部10a」は、従来技術の切り欠き7・8の形状が単純な小長方形、すなわち、嵌入する方の保護筒の上端部から切り欠き7・8への移行部が角をなしているものと比較して、上下の保護筒の嵌合接続に際し、両者の最初の嵌合を引っかかりのない円滑なものにする点にその技術的意義があることは明らかである。

(三)  右(一)(二)の事実によれば、本件考案の保護筒3の縁部3aの上端部の表面側を下向き傾斜線状に切除したその上端線から下向き傾斜線への移行部及び同じく保護筒3の縁部3bの上端部を僅かに下向き傾斜線状に切除したその上端線から下向き傾斜線への移行部は、それぞれ円弧状に形成されており、その円弧状の移行部が「アール部9a」及び「アール部10a」であって、本件考案は、その嵌合接続時の保護筒の回転防止と並んで、傾斜線状に切除したガイドライン9b及びガイドライン10b並びにアール9a及びアール部10aの構成によって、上下の保護筒の最初の嵌合を引っかかりのない円滑なものとし、「保護筒の上下端部相互の嵌合接続をスムーズに効率的に」行うことができるという効果を奏することをも主眼としたものであると認められるのであって、「アール部9a」及び「アール部10a」は、本件考案の本質的特徴の一つであると解される。

(四)  イ号物件においては、本件考案のアール部9a及びアール部10aに相当する第一コーナー部109A及び第二コーナー部110Aは、円弧状ではなく角状となっていることは、別紙物件目録添付図面記載のとおりである。

したがって、イ号物件は、「アール部9a」及び「アール部10a」の要件を具備していない。

2  原告は、イ号物件における第一コーナー部109A及び第二コーナー部110Aは、本件考案のアール部9a及びアール部10aと同等・均等であるし、イ号物件は、本件考案の改悪ないし不完全実施に過ぎない旨主張する。

(一) しかしながら、引っかかりのない円滑な最初の嵌合が可能になるのはアール部があることによるものであって、アール部がなく角状のイ号物件の第一コーナー部109A及び第二コーナー部110Aがアール部と同じ効果を奏することを認めるに足りる証拠はないから第一コーナー部109A及び第二コーナー部110Aがアール部9a及びアール部10aと同等・均等であるとは認めることはできない。

(二) 原告は、本件考案においては、アール部の寸法については何らの限定もなく、アールの寸法を限りなくゼロに近づければ、アール部9a及びアール部10aは限りなく角状に近いものになり、イ号物件の第一コーナー部109A及び第二コーナー部110Aとは数値上の相違は認められるとしても、両者は実質的構成において同一である旨主張するが、右1に認定したアール部9a及びアール部10aの技術的意義からすれば、イ号物件の角状のコーナー部は、本件考案にいう「アール部」に該当するものではない。

むしろ、本件公報中に記載されているところによれば、「現場作業は手さぐりで行う場合が多い」(4欄一〇ないし一一行)のであり、上位の保護筒に下位の保護筒を嵌合接続する際、上位の保護筒の下端部に下位の保護筒の9aあるいは10a部分が当接することも、また、下位の保護筒10a部分が上位の保護筒のスリット4b内のリム5の下端部分に当接することも考えられるが、保護筒が「ブリキ板等を使用」(2欄二八行)していることも考えあわせると、9aあるいは10a部分がアール形状になっていない場合には、当該部分が上位の保護筒の下端部に引っかかることがあり、保護筒の上下端部相互のスムーズな嵌合接続ができないと解され、アール部9a及びアール部10aとイ号物件の第一コーナー部109A及び第二コーナー部110Aとが実質的構成において同一であると評価することはできない。

また、前記1(三)に判断したとおり、「アール部9a」及び「アール部10a」が本件考案における本質的特徴の一つであると認められる以上、この特徴を具備しないイ号物件を不完全実施あるいは改悪として、本件考案の技術的範囲に属するものとの原告の主張は理由がない。

二  争点1(二)について

1  本件考案においては、ガイドライン9bは「保護筒3の、縁部3a上端部の、表面側を……下向き傾斜線状に切除して」形成されるのに対し、ガイドライン10bは「縁部3bの上端部を……僅かに下向き傾斜線状に切除して」形成されるものであることは明らかである。

そこで、右ガイドライン9bの形成についての「下向き傾斜線状に切除」、右ガイドライン10bの形成についての「僅かに下向き傾斜線状に切除」にいう「下向き傾斜線状」の意味について検討する。

本件公報中の実用新案登録請求の範囲には、ガイドライン9bについて、「保護筒3の、縁部3a上端部の、表面側を……下向き傾斜線状に切除して、上端のアール部9aからの折り返し部4cに向ってガイドライン9bを形成する」旨の記載が、ガイドライン10bについて、「縁部3bの上端部を、……僅かに下向き傾斜線状に切除して、上端アール部10aからガイドライン10b及び設定長l4の回り止め用の係合部10を形成」する旨の記載があり、考案の詳細な説明の欄の本件考案の構成の項にも、ほぼ同様の記載がある。

さらに、考案の詳細な説明の欄には、両ガイドラインを「下向き傾斜線状に切除」して形成したことの作用効果として、「まず、その係合部9のアール部9aを筒3’のスリット4a内に、係合部10のアール部10aをスリット4bのリム5上に、そのアール形状を利用してスムーズに挿入し、次で、そのまま筒3”を上方に押してガイドライン9b、10bのガイドで設定長l1嵌合する。」(5欄二八ないし三四行)、「本考案は、保護筒3の上端部の縁部3a、3bに特殊形状及び寸法の係合部9、10を設けたもので、そのアール部9a、10aのアールによる引掛りのない円滑な最初嵌合(スリット4a、4bに対する)と、それに続くガイドライン9b、10bの傾斜案内によって、従来とは比較にならぬ程、トラブルなしにスムーズに嵌合接続を行い得て、よって、保護筒装着及び接続の作業を極めて楽にすると共に、作業能率を格段に向上し得た。」(6欄三ないし一二行)との記載がある。

右のような記載に本件公報中の本件考案の実施例図面である第1図、第3図及び第4図をあわせ考えれば、「下向き傾斜線状」とは、切除後の保護筒3の上端線とガイドライン9bの延長及びガイドライン10bの延長がそれぞれ鈍角を形成する状態をいうものと解するのが相当である。

2  次に、本件考案のガイドライン10bの形成について、「僅かに下向き傾斜線状に切除して」とされる「僅かに下向き傾斜線状」の意味について検討する。

(一) 「僅かに下向き傾斜線状」との文言自体から、「僅かに」の語は、「下向き傾斜線状」の語を修飾限定していることは自明であるが、「僅かに下向き傾斜線状」との意味は、その文言からは明確であるとは言い難く、保護筒3の上縁の線に対して「僅かに」傾斜、すなわち、切除後の保護筒3の上縁線とガイドライン10bの延長が形成する鈍角が一八〇度に近いとの趣旨とも、保護筒3の上縁から下ろした垂直線に対して「僅かに」傾斜、すなわち、切除後の保護筒3の上縁線とガイドライン10bの延長が形成する鈍角が九〇度に近いとの趣旨ともとることができ、本件公報中の明細書の記載を検討しても、ガイドライン9bとガイドライン10bのそれぞれの傾斜角度の程度や相互の関係についての技術的意義に言及した箇所は見当たらず、ガイドライン10bの傾斜について「僅かに」と限定を付した技術的意義については明確でない。

もっとも、本件公報中の本件考案の実施例の図面である第1図には、ガイドライン9bの延長と保護筒3の上縁線との角度は約一一五度、ガイドライン10bの延長と保護筒3の上縁線との角度は約九五度で図示されていることからすれば、「僅かに下向き傾斜線状」の意味は、切除後の保護筒3の上縁線とガイドライン10bの延長が形成する鈍角が九〇度に近いことを意味するものであることが示唆されていると解することができる。

(二) そこで、本件考案の出願経過を見ると、本件考案については、昭和六一年一二月一九日に登録出願された後、昭和六二年二月一八日付けで手続補正が行われている(乙三の二)。

(1) 出願当初の明細書における実用新案登録請求の範囲は、別紙「出願当初の請求の範囲」記載のとおりであって、右明細書の考案の詳細な説明の欄には、保護筒の左回転防止に関し、構成の説明中に「縁部3bにおける略逆止突子6までの設定長l2を上端のアール部10aからガイドライン10bを略設定長l1の長さで僅かに下向き傾斜線状に切除して、嵌合ガイドと回り止めを兼ねた係合部10を形成し、一方、保護筒3の下端部の、縁部3bにおける設定長l1の範囲内に、必ず逆止突子6が有るようにしたものである。」(八頁一〇ないし一七行)、作用について「第5、6図示例の場合、上記嵌合によって筒3”のガイドライン9bの下端がスリット4a内の折り返し部4cの内側に衝突し、また、係合部10のガイドライン10bの略中央が筒3’(「3”」は誤記と認める。)のスリット4b内においてリム5に係合している逆止突子6……に衝突する。上記衝突設置によって、係合部9は筒3”の右回転を止め、係合部10は筒3”の左回転を止めることとなり、従って、筒3’及び筒3”の折り返し部4cが一直線状に、回り止め状態に維持される。」(一〇頁六ないし一八行)と、また、効果として「保護筒を嵌合接続したとき、係合部9、10が折り返し部4c内側及び、逆止突子6(上位の保護筒の下端部l1内にある)に衝突して、嵌合した保護筒の回り止め作用を行い得ることとなり、よって、各嵌合接続した保護筒の折り返し部4cを正確な一直線状に形成し得ると共に、従来と異なり、その一直線状の状態を外力(装着した保護筒を回わす、或は捻じるような力)に影響されることなく、回わり止め状態を固定的に保持し得る特徴があり、従って、如何に長距離の配管に装着接続した場合でも、美事に折り返し部4cの線を一直線状に形成して、仕上り体裁を革新的に向上し得るものである。」(一一頁最終行ないし一二頁一四行)とそれぞれ記載されている。

これらの記載及び出願当初の図面中第4図及び第6図の図示からすれば、出願当初の明細書記載の考案は、嵌合状態で下位の保護筒のガイドライン10bを上位の保護筒の下端部の設定長l1の範囲内の逆止突子6と衝突させることで、下位の保護筒の左回転防止及び多数の保護筒を長距離の配管に装着した場合でも折り返し部4cの線を一直線状に形成する効果を得ようとするものであり、このような効果を得るためには、ガイドライン10bをほぼ垂直に近い状態で切除形成する必要があるものと認められる。

すなわち、前記のとおり、ガイドライン10bは、「縁部3bにおける略逆止突子6までの設定長l2を上端のアール部10aからガイドライン10bを略設定長l1の長さで僅かに下向き傾斜線状に切除して」形成するとされるが、ここにいう「l2」は、ガイドライン10bの上端での設定長とすると嵌合接続の当初にガイドライン10bの上端が逆止突子6に衝突してしまい嵌合に困難が予想されるから、l2はガイドライン10b下端での設定長と解される。そして、保護筒の下端部の縁部3bにおける設定長l1の範囲内に設けられる逆止突子の位置がl1の範囲内のどの位置にあっても(保護筒の下端部に近い位置にあっても高い位置にあっても)、多数の保護筒の折り返し部4cの線が一直線状に形成されるためには、ガイドライン10bの上端に近い位置での切除前の縁部3bの端線への距離と、下端での切除前の縁部3bの端線への距離(=設定長l2)とをほぼ同じに維持する、すなわち、ガイドライン10bの延長と切除前の保護筒3の上縁線の形成する鈍角が九〇度に極めて近いものに形成する必要があったものと認められる。

したがって、出願当初の明細書に記載されたガイドライン10bを「僅かに下向き傾斜線状」の文言は、ガイドライン10bの延長と切除前の保護筒3の上縁線の形成する鈍角が九〇度に極めて近い傾斜線状を意味していたものと解するのが相当である。

(2) ところが、原告は、昭和六二年二月一八日付けの手続補正書により、明細書の全文及び図面中第1図、第4図、第5図及び第6図を補正し、出願当初の実用新案登録請求の範囲を別紙「補正後の請求の範囲」記載のとおりに補正し、現在の構成と同様に、「係合部10が筒3’(「3”」は誤記と認める。)のスリット4bの折り返し部4dの内側に衝突する。」(一〇頁九ないし一〇行)ことで保護筒の左回転の防止を図るように変更したが、他方、実用新案登録請求の範囲の項及び考案の詳細な説明の項中のガイドライン10bの傾斜については、「僅かに下向き傾斜線状に切除して」との表現を維持している(乙三の二)。

その後、平成三年五月九日付けの拒絶理由通知を受け(乙三の三)、原告は、同年七月二七日付け手続補正書で実用新案登録請求の範囲を現在のものに補正して(乙三の四)出願公告決定(乙三の五)を得た。

右昭和六二年二月一八日付け手続補正書による補正以後における係合部10とスリット4bの折り返し部4dの内側の衝突による保護筒の左回転防止の機構は、出願当初の明細書及び図面には記載されておらず、また、これらの記載から見て自明な事項ともいえないから、右補正は明細書又は図面の要旨を変更するものであると考えられる。

(三) そもそも、本件考案において、ガイドライン9b及びガイドライン10bに傾斜を設けた技術的意義は、下位の保護筒の係合部9・10の上端部の間口を広げるとともに、当初の嵌合位置が左右にずれていても下位の保護筒を上方へ押すことによりガイドライン9b及びガイドライン10bのガイドによって、設定長l1で嵌合した後には、上位の保護筒と下位の保護筒の折り返し部4cが一直線状に左右両方向回り止め状態に維持できる位置となるよう、保護筒の上下端部相互の嵌合接続をスムーズにしたことにあるのであって、保護筒の左回転防止をガイドライン10bと逆止突子6との衝突によってではなく、「係合部10が筒3’(「3”」は誤記と認める。)のスリット4bの折り返し部4dの内側に衝突する。」(本件公報5欄三七ないし三九行)ことによって図ろうとするものである以上、ガイドライン10bの傾斜角度は、上下の保護筒を装着する際に、上位の保護筒の逆止突子6に当たらないように傾斜していれば足り、ガイドライン10bについての「僅かに」下向き傾斜線状に切除してとの限定は、技術的には無意味な限定であると解される。

しかしながら、本件考案の右出願経過に鑑みると、原告は、出願当初の明細書の限定をできるだけ維持して要旨の変更がない補正であるとの判断を得ようとして、出願当初の明細書における「僅かに下向き傾斜線状に切除して」との限定をことさらに維持したものか、あるいは、補正後の構成において「僅かに下向き傾斜線状に切除」してガイドライン10bを形成することの技術的意義の有無を深く検討することなく、漫然と従前の限定を残したものと推認できる。そして、本件実用新案登録出願当時に施行されていた昭和六二年法律第六二号による改正前の実用新案法五条四項によれば、実用新案登録請求の範囲には、考案の詳細な説明に記載した考案の構成に欠くことのできない事項のみを記載しなければならないものであり、原告は、自己の責任において、本件考案の実用新案登録請求の範囲に「僅かに下向き傾斜線状に切除し」との文言を記載しながら、その定義や技術的意義を考案の詳細な説明で開示していないのであるから、本件考案の構成要件中の右文言を解釈するにあたっても、前記認定の出願経過を参酌してこれを判断すべきである。

(四) 右(一)ないし(三)に認定判断したところを総合すれば、要件Bの、ガイドライン10bの形成についての「僅かに下向き傾斜線状に切除して」とは、ガイドライン10bの延長と切除後の保護筒3の上縁線の形成する鈍角が九〇度に極めて近いように切除形成することを意味するものと解するのが相当である。

3  他方、別紙物件目録の記載によれば、イ号物件における第一案内部109Cは水平方向の線に対し約七四度、すなわちラッキングカバーの上縁線と第一案内部の形成する鈍角が約一〇六度、第二案内部110Cは約七二度、すなわちラッキングカバーの上縁部と第二案内部の形成する鈍角が約一〇八度であって、いずれも「下向き傾斜線状に切除」されたものということができるが、ラッキングカバーの上縁部と約一〇八度の鈍角を形成している第二案内部110Cは、九〇度に極めて近い鈍角を形成して切除されているものとはいえないから、イ号物件は、僅かに下向き傾斜線状に切除して形成されたガイドラインを具備するものでなく、要件Bを充足するものではない。

三  以上の次第で、その余の点について検討するまでもなく、原告の請求は理由がない。

(裁判長裁判官 西田美昭 裁判官 高部眞規子 裁判官 池田信彦)

物件目録

一 対象物件

ラッキングカバー

二 添付図面の説明

第1図イは雌型縁部と雄型縁部を結合していないラッキングカバーの正面図、第1図ロは同ラッキングカバーの平面図、第1図ハは同ラッキングカバーの斜視図。

第2図は第1図イの2-2線の断面図。

第3図イは雌型縁部と雄型縁部を結合したラッキングカバーの正面図、第3図ロは第3図イの3-3線の断面図。

第4図は雌型縁部と雄型縁部を結合したラッキングカバーの上方に雌型縁部と雄型縁部を結合していない新たなラッキングカバーを装着する状態における装着部の拡大正面図。

第5図は二つのラッキングカバーを装着した状態を示す正面図。

第6図イは二つのラッキングカバーを装着した装着部の拡大正面図、第6図ロは第6図イの6-6線の断面図。

第7図イは雌型縁部と雄型縁部を結合したラッキングカバーの上方に雌型縁部と雄型縁部を結合していない新たなラッキングカバーを装着する直前を示す斜視図、第7図ロは同装着された状態を示す斜視図。

第8図は雌型縁部と雄型縁部を結合したラッキングカバーの上方に雌型縁部と雄型縁部を結合していない新たなラッキングカバーを装着する際の装着開始時を示す装着部の斜視図。

第9図は第8図において雌型縁部と雄型縁部を結合していない新たなラッキングカバーを、既に結合されたラッキングカバーの上方に押し込んだ状態を示す装着部の斜視図。

第10図は二つのラッキングカバーが装着された装着完了時を示す装着部の斜視図。

101 管

102 被覆材

103 ラッキングカバー

103A 雌型縁部

103B 雄型縁部

104A 外側スリット

104B 内側スリット

104C 第一折り返し部

104D 第二折り返し部

104E 第三折り返し部

105 リム

106 逆止め突子

107 第一隅部

108 第二隅部

109 第一係合部

109A 第一コーナー部

109B 第一角部

109C 第一案内部

110 策二係合部

110A 第二コーナー部

110B 第二角部

110C 第二案内部

三 対象物件の構成及び装着時の説明

(一)1 イ号物件は、「ラッキングカバー」であり、第7図に示すように、空調用配管などの管101の外周部に巻き付けられた断熱材による被覆材102を保護するために、該被覆材102の外周に被せるものである。

2 ラッキングカバー103は、第1図に示すように、長手方向の一方の縁部を雌型縁部103Aとし、他方の縁部を雄型縁部103Bとし、第2図および第3図に示すように、雌型縁部103A及び雄型縁部103Bを結合して円筒状に形成する。

3 雌型縁部103Aは、第2図に示すように、三つ折りに折り曲げて外側スリット104Aと内側スリット104Bを形成している。

又、三つ折りにした折り曲げ部分を、第一折り返し部104C、第二折り返し部104D、第三折り返し部104Eとしている。第一折り返し部104Cと第二折り返し部104Dは互いに反対方向に折り曲げられ、第三折り返し部104Eは第一折り返し部104Cと同じ方向に折り曲げられている。すなわち第三折り返し部104Eは内側スリット104Bに向って折り曲げられており、折り曲げられた部分をリム105に形成している。

4 雄型縁部103Bは、第1図および第2図に示すように、複数個の逆止め突子106を同縁部に沿って形成している。

5 雌型縁部103Aの上端部に第一係合部109が形成される。第一係合部109は、第1図ハに示すように、雌型縁部103Aの端縁部分に沿って上方に延びる仮想垂直線とラッキングカバー上端縁に沿って右方に延びる仮想水平線の交点を第一隅部107とし、この第一隅部107から水平方向に長さL6左方の点を第一コーナー部109Aとし、又、第一隅部107から垂直方向に長さL1下方の点を第一角部109Bとし(長さL1は長さL6の約3.5倍の長さである。)、第一コーナー部109Aと第一角部109Bを結ぶ線に沿って切除した部分であり、第一コーナー部109Aと第一角部109Bを結ぶ斜辺を第一案内部109Cとしている。

第一コーナー部109Aは、角状を呈しており、又、第一案内部109Cの傾斜角度は水平方向の線に対して約74度である。

なお、第一折り返し部104C、第二折り返し部104D、第三折り104返し部104Eは第一角部109Bより下方に形成されている。

6 雄型縁部103Bの上端部に第二係合部110が形成される。第二係合部110は、第1図ハに示すように、雄型縁部103Bの端縁部分に沿って上方に延びる仮想垂直線とラッキングカバー上端縁に沿って左方に延びる仮想水平線の交点を第二隅部108とし、この第二隅部108から水平方向に長さL2右方の点を第二コーナー部110Aとし、又、第二隅部108から水平方向に長さL5右方の点から垂直方向に長さL3下方の点を第二角部110Bとし(長さL5は長さL2の約0.5倍、長さL3は長さL2の約1.6倍の長さである。)、第二コーナー部110Aから第二角部110Bを結ぶ線に沿って切除し、かつ第二角部110Bから雄型縁部103Bの端縁部分に向う線に沿って水平方向に切除して形成される部分である。

第二コーナー部110Aと第二角部110Bを結ぶ斜辺を第二案内部110Cとして形成している。

第二コーナー部110Aは、角状を呈しており、又、第二案内部110Cの傾斜角度は水平方向の線に対して約72度である。

(二) ラッキングカバー103は、第2図および第3図に示すように、雄型縁部103Bを雌型縁部103Aの内側スリット104Bに差し込み、雄型縁部103Bの逆止め突子106を雌型縁部103Aのリム105に係合して円筒状とする。第4図ないし第6図に示すように円筒状に結合されたラッキングカバー103には、新たなラッキングカバー103が装着される。

第1図

<省略>

第2図

<省略>

第3図

<省略>

第4図

<省略>

第5図

<省略>

第6図

<省略>

第7図

<省略>

第8図

<省略>

第9図

<省略>

第10図

<省略>

<19>日本国特許庁(JP) <11>実用新案出願公告

<12>実用新案公報(Y2) 平4-3197

<51>Int.Cl.3  F 16 L 57/00 識別記号 A 庁内整理番号 7127-3J <24><44>公告 平成4年(1992)1月31日

<54>考案の名称 管被覆材保護筒

<21>実願 昭61-195601 <65>公開 昭63-99097

<22>出願 昭61(1986)12月19日 <43>昭63(1988)6月27日

<72>考案者 唐川和雄 茨城県古河市常盤町16-15

<71>出願人 ヤマト工業株式会社 茨城県猿島郡総和町大字下大野字新山1782-1

<74>代理人 弁理士 川崎隆夫

審査官 阿部利英

<57>実用新案登録請求の範囲

1) 保護筒3の長手方向の一方の縁部3aを三つ折返しにはぜ折りして、スリツト4a、4bと、掛止めリム5を形成し、他方の縁部3aに逆止突子6を長手方向に列設した既存構成の管被覆材保護筒において、

保護筒3の、縁部3a上端部の、表面側を設定長l1の長さで下向き傾斜線状に切除して、上端のアール部9aから折り返し部4cに向つてガイドライン9bを形成すると共に、裏面側のはぜ折り部分を上端側から同じく設定長l1の長さで切除し、

一方、縁部3aの上端部を、設定長l2の幅及び設定長l3の長さで僅かに下向き傾斜線状に切除して、上端のアール部10aからガイドライン10b及び設定長l4の回り止め用の係合部10を形成したことを特徴とする、

管被覆材保護筒。

2) 設定長l1は、上位の保護筒3’の下端部に、下位の保護筒3”の上端部を、係合部9、10を案内として嵌合接続したときの嵌合幅である、

実用新案登録請求の範囲第1項記載の管被覆材保護筒。

3) 上位の保護筒3’の下端部に、下位の保護筒3”の上端部をアール部9a、10a及びガイドライン9b、10bを案内として嵌合接続したときに、保護筒3”の係合部9が保護筒3’のスリツト4a内の折り返し部4cの内側に衝突し、また、保護筒3”の係合部10が保護筒3’のスリツト4bの折り返し部4dの内側に衝突して、左右両方向に回り止め状態に嵌合接続され、

それによつて、嵌合接続した各保護筒の折り返し部4cが一直線状に固定的に維持されるようにしたことを特徴とする、

実用新案登録請求の範囲第1項記載の管被覆材保護筒。

考案の詳細な説明

Ⅰ…産業上の利用分野

本考案は、建物構造の屋内外に設置した空調用配管等の各種の管において、該管1外周に巻き付けた断熱保温材などの被覆材2の周面をカバーする、円筒状の保護筒3に関するものであり、一定長(例えば、90cm)に製作した該保護筒3を使用し、管1の長さに応じ、工事現場にて被覆材2外周に巻きつけ装着し、装着した保護筒の上下端部相互を嵌合接続して施工する保護筒の構造に係り、

特に、施工時の保護筒の上下端部相互の嵌合接続をスムーズに効率的に、また、仕上り体裁良くなし得るようにしたことを特徴とするものである。

Ⅱ…従来技術とその課題

(1)…従来、この種保護筒3としては、展開状態長方形のブリキ板等を使用し、その長手方向の一方の縁部3aを三つ折返しにはぜ折りして、スリツト4a、4bと掛止めリム5を形成し、他方の縁部3bに逆止突子6等を筒内に向けて段状にブレス成形して長手方向等間隔に刻設したもの、またはこれに類似した構成のものが広く用いられており、

(2)…また、上記(1)項記載の保護筒を改良したものとして、その縁部3a及び3bの上端部のはぜ折り部分及び逆止突子設置部分を小長方形に切除して切欠き7及び8を設けたものがある。(出願人が先に出願した昭和55年実用新案登録願第167191号、考案の名称「管被覆材保護筒。)(第9図参照)

(3)…而して、保護筒3を被覆材2の外周に巻き付け装着するには、工事現場にて管1の長さに応じ必要本数の保護筒3を後述するように嵌合接続する。

単体の保護筒3の装着は、被覆材2の外周に保護筒3を巻き付け、スリツト4bに縁部3b「を挿入し、その逆止突子6をリム5に、保護筒3自体の弾性を利用して弾力的に逆止状に掛け合わせる。

そして、長尺の管1に対する施工時には、一定長の保護筒3の上下端を順次嵌合接続するが、この保護筒3の上下端部相互を嵌合接続するには上位の保護筒3’(以下単に筒3’)の下端部筒内に、下位の保護筒3”(以下単に筒3”)の上端部を僅かにつぼめるようにしつつ嵌合して接続する。

(4)…ところが、従来(上記(1)項記載)の保護筒3においては、嵌入する方の保護筒の上端部に嵌合を助けるような構成が何も無いため、筒3’のスリツト4aに筒3”の折り返し部4cを、また、筒3’のスリツト4bに筒3”の、逆止突子6のある縁部3bを、筒3’の各スリツト4a、4bを拡開して、強引に重合挿入することとなり、筒3’、3”の重合接続作業が極めてやり難く、手数がかかるばかりでなく、接続仕上りが前記重合挿入部分が外方へふくらんでしまうために、極めて不体裁となる欠点があつた。(第8図参照)

(5) …この点、上記(2)項記載の保護筒3(第9図のイ、ロ参照)は前記の如く切欠き7、8を筒体の上端部に形成したので、嵌合接続は筒3”の縁部3a、3bを切除して単なる円筒状となつた筒上端部を、筒3’の下端部に嵌合することによつて、嵌合接続でき、また、該接続時に、両筒3’、3”の各縁部3aを突き合わせて折り返し部4cを一直線状に整えれば、接続後の仕上り体栽も一応はうまくいく利点があつたが、

(ⅰ) それでもなお、切欠き7、8の形状が単純な小長方形であるため、特に嵌合作業当初の嵌合案内が仲々うまく行かず、現場作業は手さぐりで行う場合が多いため、その点が大きな欠点となつており、

(ⅱ) 更に、嵌合接続後の仕上げ時に、一応各保護筒の折り返し部4cを一直線状に整えることはできるが、上記のように、下位の筒3”は縁部3a、3bとの7、8を切除して単なる円筒状(欠円形の)となつているため、該筒3”を回わせば容易に回わつてしまつて、一直線状の維持がうまく行かないという、仕上り体裁上の大きな問題点があり、

例えば、建造物等において良く目立つ場所に、場合によつては数10m以上の長さにわたつて設置された配管をカバーしたようなときに、折り返し部4cがスツキリとした一直線状になつているのと、ぐにやぐにや曲つているのとでは、大変な美観上の相違点があるため、この点が特に課題とされてきたものである。

Ⅲ…本考案の構成

本考案は、上記樹歌に従来の課題点を解決すべくなされたものであり、以下に本考案の構成をその実施例につき説明すると、

(1)…保護筒3の長手方向の一方の縁部3aを三つ折返しにはぜ折りして、スリツト4a、4bと、掛止めリム5を形成し、他方の縁部3aに逆止突子6を長手方向に列設した既存構管被覆材保護筒において、

保護筒3上端部の、縁部3aにおけるはぜ折り部分の裏面側を設定長l1位置から直角に切除し、表面側上端のアール部9aから折り返し部4cに向つてガイドライン9bを設定長l1の長さで下向き傾斜線状に切除して、嵌合ガイドと回り止めを兼ねた係合部9を形成すると共に、

縁部3bにおける略逆止突子6までの設定長l2を上端のアール部10aからガイドライン10bを略設定長l3の長さで僅かに下向き傾斜線状に切除して、設定長l4(l1=l1-l2)の回り止め用の係合部10を形成したものである。

(2)…上記の構成において、設定長l1は、上位の保護筒3’の下端部に、下位の保護筒3”の上端部を、係合部9、10を案内として嵌合接続したときの、嵌合(重合)幅である。

(3) …また、上位の保護筒3’の下端部に、下位の保護筒3”の上端部をアール部9、10a及びガイドライン9b、10bを案内として嵌合接続したときに、保護筒3”の係合部9が保護筒3’のスリツト4a内の折り返し部4cの内側に衝突して右方向に対し回り止め状態に嵌合接続され、また、保護筒3”の係合部10が保護筒3’のスリツト4bの折り返し部4bの内側に衝突して、左方向に対し回り止め状態に嵌合接続され、(第6図参照)

それによつて、左右両方向に対して回り止め状態に嵌合接続した各保護筒の折り返し部4cが一直線状に固定的に維持されるようにしたものである。

Ⅳ…作用

(1)…管1の被覆材2に装着した上位の保護筒3’の下端部に、同じく装着した下位の保護筒3”の上端部を僅かにつぼめるようにし乍ら近接し、(第3、4図)

(2)…先ず、その係合部9のアール部9a、10aを筒3”のスリツト4a内に、係合部10のアール部10aをスリツト4bのリム5上に、そのアール形状を利用してスムーズに挿入し、

(3)…次で、そのまま筒3”を上方へ押して、ガイドライン9b、10bのガイドで、設定長l1嵌合する。

(4)…第5、6図示例の場合、上記嵌合によつて筒3”のガイドライン9bの下端がスリツト4a内の折り返し部4cの内側に衝突し、また、係合部10が筒3”のスリツト4bの折り返し部4dの内側に衝突する。

上記衝突設置によつて、係合部9は筒3”の右方向回転を止め、係合部10は筒3”の左方向回転を止めることとなり、

従って、筒3’及び筒3”の折り返し部4cが一直線状に、左右両方向回り止め状態に維持される。(第7図)

Ⅴ…効果

(1)…上記のように本考案は、保護筒3の上端部の縁部3a、3bに特殊形状及び寸法の係合部9、10を設けたもので、そのアール部9a、10aのアールによる引掛りのない円滑な最初嵌合(スリツト4a、4bに対する)と、それに続くガイドライン9b、10bの傾斜案内によつて、従来とは比較にならぬ程、トラブルなしにスムーズに嵌合接続を行い得て、よつて、保護筒装着及び接続の作業を極めて楽にすると共に、作業能率を格段に向上し得た。

特に、上記嵌合接続作業を容易化なし得たことによつて、作業のしにくい姿勢や場所における装着接続及び、手さぐりによる装着接続なども簡単、確実に行い得る効用は多大なものである。

(2)…また、各保護筒の上端部の設定長l1に係合部9、10を設けたので、

上記の如く、保護筒を嵌合接続したとき、係合部9、10が折り返し部4c及び4dの内側に衝突して、嵌合した保護筒の回り止め作用を行い得ることとなり、

よつて、各嵌合接続した保護筒の折り返し部4cを正確な一直線状に形成し得ると共に、従来と異なり、その一直線状の状態を外力(装着した保護筒を左右回転方向に回わす、或は捻じるような力)に影響されることなく、回わり止め状態を固定的に保持し得る特長があり、

従って、如何に長距離の配管に装着接続した場合でも、美事に折り返し部4cの線を一直線状に形成して、仕上り体裁を革新的に向上し得るものである。

図面の簡単な説明

第1図は本考案管被覆材保護筒の正面図及び平面図、第2図は第1図のA-A線一部拡大断面図、第3図のイは保護筒を装着状態とした正面図、ロはB-B線一部拡大断面図、第4図は嵌合接続する上、下位の保護筒の接続要部を対置した一部拡大正面図、第5図は上、下位の保護筒を嵌合接続した正面図、第6図のイはその接続要部の一部拡大正面図、ロはそのC-C線断面図、第7図は保護筒を管被覆材に装着し接続した状態を示す斜視図、第8図は従来例保護筒の嵌合接続部分の一部拡大断面図、策9図のイは別の従来例保護筒の構成及び嵌合接続状態を示す斜視図、ロはその接続要部の一部拡大断面図である。

付号、1……管、2……被覆材、3……保護筒、3’……上位の保護筒、3”……下位の保護筒、4a、4b……スリツト、4c、4d……折り返し部、5……リム、6……逆止突子、7、8……切欠き、9、10……係合部、9a、10a……アール部、9b、10b……ガイドライン。

第1図

<省略>

第2図

<省略>

第3図

<省略>

第4図

<省略>

第5図

<省略>

第6図

<省略>

第7図

<省略>

第8図

<省略>

第9図

<省略>

別紙「出願当初の請求の範囲」

明細書

1.考案の名称

管被覆材保護筒

2.実用新案登録請求の範囲

(1)、保護筒3の長手方向の一方の縁部3aを三つ折返しにはぜ折りして、スリット4a、4bと掛止めリム5を形成し、他方の縁部3bに逆止突子6を長手方向に列設した既存構成の管被覆材保護筒において、

保護筒3上端部の、縁部3aにおけるはぜ折り部分の裏面側を設定長l1位置から直角に切除し、表面側上端のアール部9aから折り返し部4cに向ってガイドライン9bを設定長l1の長さで下向き傾斜線状に切除して、嵌合ガイドと回り止めを兼ねた係合部9を形成すると共に、

縁部3bにおける略逆止突子6までの設定長l2を上端のアール部10aからガイドライン10bを略設定長l1の長さで僅かに下向き傾斜線状に切除して、嵌合ガイドと回り止めを兼ねた係合部10を形成し、

一方、保護筒3下端部の、縁部3bにおける設定長l1の範囲内に、必ず逆止突子6が有るようにしたことを特徴とする、

管被覆材保護筒。

(2)、設定長l1は、上位の保護筒3’の下端部に、下位の保護筒3”の上端部を、係合部9、10を案内として嵌合接続したときの、嵌合幅である、

実用新案登録請求の範囲第1項記載の管被覆材保護筒。

(3)、上位の保護筒3’の下端部に、下位の保護筒3”の上端部を係合部9、10を案内として嵌合接続したときに、保護筒3”の係合部9が保護筒3’のスリット4a内の折り返し部4cの内側に衝突し、また、保護筒3”の係合部10が保護筒3’のスリット4b内においてリム5に係合している逆止突子6に衝突して、回り止め状態に嵌合接続され、

それによって、嵌合接続した各保護筒の折り返し部4cが一直線状に固定的に維持されるようにしたことを特徴とする、

実用新案登録請求の範囲第1項記載の管被覆材保護筒。

別紙「補正後の請求の範囲」

明細書

1.考案の名称

管被覆材保護筒

2.実用新案登録請求の範囲

(1)、保護筒3の長手方向の一方の縁部3aを三つ折返しにはぜ折りして、スリット4a、4bと、掛止めリム5を形成し、他方の縁部3bに逆止突子6を長手方向に列設した既存構成の管被覆材保護筒において、

保護筒3上端部の、縁部3aにおけるはぜ折り部分の裏面側を設定長l1位置から直角に切除し、表面側上端のアール部9aから折り返し部4cに向ってガイドライン9bを設定長l1の長さで下向き傾斜線状に切除して、嵌合ガイドと回り止めを兼ねた係合部9を形成すると共に、

縁部3bにおける略逆止突子6までの設定長l2を上端のアール部10aからガイドライン10bを略設定長l3の長さで僅かに下向き傾斜線状に切除して、設定長l4の回り止め用の係合部10を形成したことを特徴とする、

管被覆材保護筒。

(2)、設定長l1は、上位の保護筒3’の下端部に、下位の保護筒3”の上端部を、係合部9、10を案内として嵌合接続したときの、嵌合幅である、

実用新案登録請求の範囲第1項記載の管被覆材保護筒。

(3)、上位の保護筒3’の下端部に、下位の保護筒3”の上端部をアール部9a、10a及びガイドライン9b、10bを案内として嵌合接続したときに、保護筒3”の係合部9が保護筒3’のスリット4a内の折り返し部4cの内側に衝突し、また、保護筒3”の係合部10が保護筒3’のスリット4bの折り返し部4dの内側に衝突して、左右両方向に回り止め状態に嵌合接続され、

それによって、嵌合接続した各保護筒の折り返し部4cが一直線状に固定的に維持されるようにしたことを特徴とする、

実用新案登録請求の範囲第1項記載の管被覆材保護筒。

実用新案公報

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例